新年明けましておめでとうございます
「虎は千里を走る」と威勢の良い掛け声で始まった昨年は、ウクライナ戦争、安倍総理暗殺事件、コロナは終息せずと散々な1年で、北京オリンピックやワールドカップでの日本勢の活躍でわずかに溜飲を下げた年でした。今年の干支は、癸卯(みずのとう)。一つの物事が収まり次の物事への移行をしていくという意味だそうですが、所詮、古代中国の思想・陰陽五行説という占いから発したもので、当たるも八卦、当たらぬも八卦というころでしょうか。占いはさておき、奈良県では、地域医療構想で連携、集約が進む中、「孤高の虎」として、当院が求められ、担っている政策医療などの充実に、COVID-19感染症の重点医療機関 として役割を果たしながら取り組んできました。具体的には、重心医療における居宅訪問型児童発達支援事業、奈良県てんかん診療拠点病院として、県内医療機関連携の促進、医療の質向上、コーディネーターの育成や筋ジストロフィーなどの神経難病等の連携協力医療機関としての役割、コロナ患者と結核患者の受け入れの両立を実施してきました。また得意分野の医療として、パーキンソン病・本態性振戦・ジストニア等の不随意運動の外科的治療、痙縮や難治性疼痛に対する集学的治療、老年呼吸器病治療、日本睡眠学会専門医療機関として睡眠呼吸障害治療、小児神経発達症の診断・治療、高次脳機能障害支援事業などに注力してきました。一方、「孤高」とはいえ、地域医療に貢献することも国立病院である当院の重要な業務であり、急性期病院の後方支援機能および補完的救急医療の実施のために、奈良県立医科大学内科および脳神経外科と病病連携協定を締結、奈良県総合医療センター救急ネットワークにも加盟し、コロナ禍であってもこれらの病院の後方支援を今年はさらに充実させてゆきたいと思います。また大学と連携したPOST NICU問題に対する取り組み、住み慣れた家庭や地域で安心して医療が受けられるように、難病や特殊な治療を行っている患者さんを中心とした訪問看護事業も展開したいと思います。
奈良医療センターは、不安定な世の中において、患者さんが安心・安全に暮らせるように質の高い医療と福祉で支える病院でありたいと今年も頑張ります。
令和5年 1月
院長 平林秀裕
◆ベストドクターズ The Best Doctors in Japan(2014-2021)選出