院長 平林 秀裕

 

新年を迎え、ご挨拶申し上げます。

大変な災禍で幕を開けた2024年。災厄に遭われたかたがたには、心よりお見舞い申し上げます

さて、辰年は、これまで努力してきたことが実を結んで成就する年とされています。

当院は、結核や神経難病といったセーフティネット系医療等を中心に、患者さんが住み慣れた街で安心安全に暮らせるように「面倒見のいい病院」として地域医療に貢献することを目指してきましたが、本年は特に以下の7項目を充実させたいと思います。

 

1)新型コロナウイルス感染症
5類感染症となりましたが、まだまだ感染力が強く、高齢者や基礎疾患を持つ患者さんには依然脅威です。重点医療機関としての経験を活かして、近隣医療機関からの加療要請に積極的に対応します。
2)てんかん医療・機能的脳神経外科
奈良県におけるてんかん支援拠点病院として、1)県内の医療機関、救急隊等がてんかん患者さんの医療情報を共有できる仕組みの構築、2)いわゆるてんかんサポート医の養成、3)てんかんコーディネータ養成などを通して、てんかんに悩む患者さんが安心して暮らせるようにする。 またこれまでパーキンソン病、ジストニア、痙縮、難治性疼痛に対する機能的脳神経外科治療で国内屈指の実績を積んできましたが、今春からはてんかん手術の専門家を迎え、より充実した機能的神経外科を展開します。 さらにてんかん・パーキンソン病において遠隔診療を導入し、患者さんの利便性をはかります。
3)呼吸器内科診療の更なる充実.
結核医療、難治性肺MAC症に対する治療、アレルギー疾患支援病院として重症喘息に対する生物学的製剤や気管支サーモプラスティなどによる治療に加えて、呼吸サポートチーム(RST)によるCOPDなどの慢性呼吸不全に対する呼吸器リハビリテーションや睡眠時無呼吸障害に対する治療など「呼吸機能の向上」を目指す医療に注力します。
4)発達障害に対する取り組み(小児神経科)
これまで重症心身障害児の医療を中心に、居宅訪問型児童発達支援事業など他では行われていなかった事業を展開してきましたが、今後はPost NICUの重心患者さんにも積極的に対応してまいります。 また今や社会問題ともいえる小児の発達障害についても、積極的に取り組みます。
5)病院から地域へ
在宅呼吸療法や脳深部刺激療法等の特殊なディバイスを留置されている患者さんの訪問看護・診療の充実や医療Dx時代に合わせて、現在は、てんかん患者さんのみで実施している遠隔診療を拡充させていきます。
6)地域との連携
奈良県立医科大学との患者受け入れ協定、奈良県総合医療センターの救急ネットワークへの参加等、病病連携を実施してきましたが、近隣の病院・医院が当院へ相談しやすいように地域連携室の窓口を17時から19時に拡大し、病診連携を促進します。肺炎、喘息、てんかん、脳卒中やその他common diseaseなどご相談ください。
7)災害時の取り組み
障害者(特に重心)災害時の地域協定の確立。大規模災害時には、特に障害のある方の避難は、呼吸器など多くの問題があります。そこで当院、奈良市及び県内2つの重症心身障害児者施設との間で「災害時における療養介護事業所のある医療機関への入院に関する協定」を締結し、昨年は奈良市総合防災訓練へも参加しました。
当院は、災害時に障害児者に優しい病院をめざします。

これまでの取り組みが実を結んで、地域の皆様に貢献できる年となりますように奈良医療センター一同頑張りたいと思います。

令和6年 1月
 独立行政法人国立病院機構
奈良医療センター
院長 平林秀裕

ベストドクターズ The Best Doctors in Japan(2014-2023)選出

一般社団法人 日本定位・脳神経外科学会 理事長挨拶

2023.7.19 院長のインタビューが医療業界プロフェッショナルインタビューサイト【医ノ匠】に掲載されました