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キーワード:熟睡感がない

睡眠時無呼吸検査のお話

睡眠時無呼吸症候群とは?

あなたはいびきがひどいとか、寝ているときによく息が止まっていると言われたことはありませんか?医学的には、睡眠中に、1回10秒以上つづく呼吸停止あるいは低換気呼吸(ガス交換が効率よくできていない状態)が1時間に5回以上あったときに睡眠時無呼吸症候群といいます。全く健康な方でも呼吸が短時間止まることはあり、呼吸停止あるいは低換気が1時間に5回以上あることがすぐに病気とはいえませんが、1時間に20回以上ある中等症以上の場合には余命に差が出てくるという報告があります。無呼吸や低換気呼吸から低酸素となり、それは特に循環器系に深刻な影響を与え、脳出血や心筋梗塞、致命的な不整脈などを起こしやすくします。そこまで至らなくても高血圧となったり、昼間に眠くて仕事にならなかったり、性格に変化を生じるなど、いろいろな症状がありえます。
本邦での正確な報告はまだありませんが、睡眠時無呼吸症候群に罹患している人は約200万人はいるのではないかと推定されています。無呼吸の頻度が高いほど、また経過期間が長いほど悪影響はでやすくなります。睡眠中に無呼吸を起こしていても自覚症状はないことが多く、どなたかに冒頭のような指摘を受けた方は、睡眠時無呼吸症候群となっていないかの医学的な検査をお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群(成人)の原因

鼻やのど、あごや口の中、くびの骨、神経、肥満、甲状腺、気管支や肺の問題など、様々なものが原因になりえます。
  成人の方の睡眠時無呼吸症候群の原因としては多いのは、軟口蓋(なんこうがい、のどの前方の柔らかいところ)の形の問題、肥満に伴う上気道周囲への脂肪沈着、扁桃腺の肥大、鼻やその周囲の問題です。睡眠時、呼吸をしようとしても空気の通り道がふさがってスムーズな呼吸ができず、無呼吸と大きないびきを伴う状態になります(閉塞型睡眠時無呼吸症候群)。

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群の検査原因の検索として、鼻やのど、またはその周辺に問題があるかないかは耳鼻咽喉科で診察や検査をしていただくのがいいでしょう。ほかに、内分泌疾患(甲状腺機能低下症や末端肥大症、クッシング症候群など)や慢性関節リウマチに伴う顎関節炎、腎疾患(慢性腎炎やネフローゼ)などの有無も調べておいた方がいいでしょう。
  閉塞型睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、睡眠中の脳波(睡眠の深さをみます)、胸やお腹での呼吸状態、あごの筋肉の動き、血液中の酸素の濃度、眼の動き、いびき音、鼻や口での空気の流れなどを同時に測定する、ポリソムノグラフィという検査が必須です。ただ、この検査は1泊2日の検査入院となります。
  はじめから入院検査はかなわないとおっしゃる方には、確定診断にはなりませんが、まず第一段階として、ご自宅での簡易検査も可能です。もし簡易検査で睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いならポリソムノグラフィの検査をしてみるのもいいでしょう。

検査の結果、閉塞型睡眠時無呼吸症候群だったら

ポリソムノグラフィの検査原因に合わせて治療していくことになりますが、肥満の方は減量や生活習慣を改善することで改善することも多いです。しかし、中等症以上の方では、睡眠時に鼻から空気を送り込む装置をつけていただく方がいいのかどうか判断しないといけません。ちょっとはじめはわずらわしいかもしれませんが、この装置で爽快な睡眠が取れるようになる可能性がある他、装置を使うのと使わないのでは余命に差が出てくるというデータもあります。もちろん症状が改善すればこの装置は不要となります。
  その他の治療法として、扁桃やアデノイドの除去手術、空気の通り道を広げるためののどの手術、歯科装具などがあります。
  当院では前述のポリソムノグラフィの検査が可能です(1泊2日)。入院、検査代で自己負担はおよそ3万5千円(※)です(保険ありで、3割負担の場合)。
また、まずは簡易検査とおっしゃる方もご相談ください。
   (※) 検査内容、病室により変わる場合がありますのでご了承下さい。