医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学に関する研究であって、 人を対象とするもののことです。具体的には研究の対象となる患者様に何らかの検査、投薬や聞き取り調査等は行わない観察研究(症例報告、症例集積研究など)、何らかの検査、 投薬や聞き取り調査等を行う介入研究(臨床試験)などがあります。また、企業が医薬品や医療機器の製造販売の承認を得るために行う「治験」は臨床試験の中に含まれます。
「治験」は一般に第Ⅰ相試験(臨床薬理試験)、第Ⅱ相試験(探索的試験)、第Ⅲ相試験(検証的試験)の三段階で行われます。
健康な成人男性を対象として、研究に使用する薬(治験薬)を少量から段階的に増量して、薬の動態(薬が体の中で、どのように動き、分解されて、体の中から出ていくか)と安全性(副作用など)について調査します。
少数の患者様を対象に実施する試験です。一般に前期と後期に分かれ、前期試験では治験薬の効き目と安全性を調べ、後期試験では、使用する治験薬の量を考える試験です。
第Ⅱ相試験での結果を元に科学的に検証する試験です。無作為化試験(くじ引きのような方法で被験者を振り分けて、違う量の治験薬の効果を確認する方法)や盲検化試験(薬の効果に対する先入観などをなくして評価するために、被験者にも、研究者にも治験薬か対象薬またはニセの薬(プラセボ)のどちらが使用されているのかを区別できなくして試験をする方法)などを用います。
これらの成績をまとめ、医薬品や医療機器の製造販売承認申請が行われます。承認された後は、多くの患者様に使用されることになるため、治験では検出できなかった副作用を調べるために、製造販売後臨床試験(第Ⅳ相試験)で医薬品の有効性や安全性をさらに確認します。
平成22年度
E2080のレノックス・ガストー症候群患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験 | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
E2080のレノックス・ガストー症候群患者を対象とした継続投与長期試験 | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
健常者における側頭葉内MR代謝画像と拡散テンソル画像による神経路の検討 | 臨床研究 | 星田徹 |
肺結核再発要因に関する前向き調査研究 | 臨床研究 | 田村猛夏 |
Duschenne型筋ジストロフィー児への医師による告知に関する研究参加依頼 | 臨床研究 | 松村隆介 |
ラミクタール錠使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 星田徹 |
ノーベルバール静注用250mg使用成績調査(てんかん重積状態) | 第Ⅳ使用成績調査 | 村上智彦 |
塩酸バンコマイシン眼軟膏使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 藤谷知余美 |
外来フロアにおける患者様の受診時の安全に関する研究 | 臨床研究 | 池本由美子 |
迷走神経刺激装置VNSシステム使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 星田徹 |
平成23年度
リリカカプセル使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 平林秀裕 |
ギャバロン髄注シンクロメッドポンプシステム使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 平林秀裕 |
イーケプラ錠使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 星田徹 |
ノーベルバール静注用250mg使用成績調査(てんかん重積状態) | 第Ⅳ使用成績調査 | 星田徹 |
強直間代発作(二次性全般化発作を除く)を有するてんかん患者を対象とした他剤併用時におけるperampanelの有効性及び安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(非盲検継続投与期を含む) | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
ゾレアⓇ皮下注用 特定使用成績調査(気管支喘息) | 第Ⅳ特定使用成績調査 | 玉置伸二 |
「部分発作を有する新たに又は最近診断を受けた16歳以上のてんかん患者を対象とした、レベチラセタム単剤療法の有効性と安全性を評価するための多施設共同、無作為化、非盲検試験 | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
脊柱後弯あるいは後側弯変形に伴う胃食道逆流症(GERD)の実態調査 | 臨床研究 | 森下亨 |
エビデンスに基づいた重症心身障害児(者)呼吸器感染症診療ガイドライン作成に関する研究 | 臨床研究 | 岸本美枝子 |
強直間代発作を有する16歳以上のてんかん患者に対するレベチラセタム(L059)併用投与時における有効性及び安全性を評価するための多施設共同、無作為化、プラセボ対照、二重盲検比較試験 | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
難治性部分発作を有するてんかん患者を対象とした他剤併用時におけるperampanel(2007)の有効性及び安全性を評価する、二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(非盲検継続投与期を含む) | 第Ⅲ相治験 | 星田徹 |
遺伝子型に基づくカルバマゼピンのオーダーメイド投薬の検証に関する前向き臨床研究 | 臨床研究 | 星田徹 |
イーケプラ錠特定使用成績調査(QOL) | 第Ⅳ特定使用成績調査 | 星田徹 |
タイケルブ使用成績調査 | 第Ⅳ使用成績調査 | 瀧順一郎 |
アクトネル錠17.5mg特定使用成績調査―骨Paget病に対する調査(全例調査) | 第Ⅳ特定使用成績調査 | 森下亨 |
入院中の患者に対する看護・介護の標準化を目指すための運動解析 | 臨床研究 | 森下亨 |
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○治験案内はこちら
○詳しくは国立病院機構本部 総合研究センターhttps://www.hosp.go.jp/research/research_ebm.html をご覧ください。
※EBM : 根拠に基づいた医療(evidence-based medicine)
経験や慣習によらず、臨床試験などの結果による科学的な根拠に基づいて行われる医療のこと
○当院参加のEBM研究課題
平成18年度 :
J-bronco『気管支鏡検査の感染症合併と抗菌薬投与に関する多施設調査研究』
平成20年度 :
ATP-DN『糖尿病腎症進展阻止のための抗血小板薬(ジピリダモール)の効果の検討』
平成21年度 :
J-FALLS 『医療・介護を要する在宅患者の転倒に関する多施設共同前向き研究』
平成22年度EBM研究 :
MARK 『観血的医療処置時の抗血栓薬の適切な管理に関する研究』
○「筋ジストロフィー診療における医療の質の向上のための他職種協働研究」班
参加医師 松村診療部長
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