検体検査には、一般、血液学、生化学、免疫血清、輸血関連業務、微生物学、病理学的検査があります。その検査は正確性だけでなく早さも求められます。
研究検査科では、平成29年5月から総合検査室と微生物検査室の測定装置を増やして、様々な検査結果の大半を当日中に知ることができるようになりました。
「検体検査」については外部委託業者により実施されています。
総合検査室の取り組み 以下の装置は、2台で凡そ60分以内の報告を行っています。
装置名 |
装置で分かること |
自動分析装置 |
血液や尿から糖やコレステロール、タンパク、酵素などの各種成分を調べる検査 |
免疫測定装置 |
ウイルスやがん、ホルモンなどの有無や量を調べる検査 |
血球計算装置 |
血液の主要な要素である血球成分(赤血球、白血球)の数や状態を調べる検査 |
微生物検査室の取り組み 以下の検査で結核菌などを迅速に報告しています。
検査名 |
検査で分かること |
細菌塗抹 |
顕微鏡検査により、採取した材料で一般的な細菌の有無と菌の量を調べる検査 |
抗酸菌塗抹 |
蛍光顕微鏡を用いて、ヒト型結核菌など抗酸性をもつ細菌を調べる検査 |
結核遺伝子検査 |
LAMP法という専用装置を用いて、結核菌の有無を調べる検査 |
一般検査で何が分かるの?
尿中の蛋白・糖、潜血などの有無や細胞・結晶の分類、糞便中の潜血や寄生虫などの有無を検査します。その他、穿刺液(体腔液・髄液等)の生化学的検査等を行います。
血液検査で何がわかるの?
血液中の赤血球数・白血球数・血小板数などの測定をします。また、血液標本を作製し細胞分類 や異常細胞の検索等を行います。また、血液の凝固線溶自動分析装置を用いて抗凝固薬(ワーファリンなど)の治療効果を調べます。
生化学や免疫検査で何がわかるの?
血清中の各種酵素・電解質、ウイルス抗原・抗体、ホルモン、腫瘍マーカー、血中薬物濃度などを自動分析装置で測定します。
輸血検査で何がわかるの?
血液型検査、不適合輸血を防止するための交叉適合試験、不規則抗体検査や自己血貯血・管理を行います。また、血液製剤(赤血球濃厚液、新鮮凍結血漿、濃厚血小板、アルブミン製剤)の適正使用・管理を行います。
微生物って何?
微生物とは、細菌・真菌(カビ類)・寄生虫・ウイルス等のことをいいます。当院内の微生物検査室では、主に細菌と真菌の塗抹検査をおこなっています。
微生物検査で何がわかるの?
臨床検査技師が中心となり感染症の原因微生物の検出を行い、臨床医に提供します。
また、ICT(感染制御)などの委員会支援を行います。
一般細菌検査とは?
患者様からいただいた様々な材料(喀痰・尿・便・etc)から、感染症の原因と疑われる微生物がいるか、またその微生物に効果のある抗生剤は何かを調べるための検査です。
一般細菌塗抹とは?
患者様からいただいた材料を染色して、細菌の有無、量、染色性、形状を調べる検査です。患者様の疑われる病態と一般細菌塗末結果である程度の菌種を推定するともでき、細菌の同定分離や感受性テストの結果が出るまでの抗生剤の選択をおこなう上での有用な情報となります。
抗酸菌検査とは?
ヒト型結核菌を含む抗酸菌の有無を調べる検査です。当院内では抗酸菌塗抹と結核菌遺伝子検査を行っています。
抗酸菌塗抹とは?
患者さんからいただいた材料(喀痰・胃液など)を染色して、目視により抗酸菌の有無を調べる検査です。検査方法として、蛍光法と抗酸菌染色があります。初めにスクリーニング検査として蛍光法(アクリジン・オレンジ法)で抗酸菌と疑われる菌体を見つけます。検査には、蛍光顕微鏡を用いて、画像処理を行います。
もし蛍光法で菌体が見つかった場合は、別の抗酸菌染色法(チール・ネルゼン染色)を行い、赤く菌体が染まれば抗酸菌と考えられます。
結核菌遺伝子検査(LAMP法)とは?
ヒト型結核菌のDNAを増やし、試薬と反応させることにより発色させる方法で、院内で迅速に結核菌が存在するかを検査する方法です。
循環器関連検査/ 呼吸器関連検査 / 脳・神経関連検査 / その他の検査
・安静時心電図
心電図検査って?
心臓の微弱な電気的興奮を心電計で増幅し、波形として記録します。
痛みや害はありませんので、繰り返し検査を行っても問題ありません。
どんなことがわかるの?
心拍数や心臓の動くリズムを把握するのに優れており、不整脈の診断や波形の変化により心臓の病気の発見に有用な検査です。
どうやって行うの?
胸と両手、両足首を見えるようにしていただき、仰向けでベットに休みます
。
アルコール綿で胸と両手、両足首を拭きます。
(アルコールでかぶれ等の不都合のある方には、別の消毒液を用意しておりますので、お気軽にお申し出ください。)
電極という心電図をキャッチするシールを胸に6個付け、両手両足には
大きな洗濯バサミのようなもので挟みます。
体の力を抜いて、楽に休んで頂ければ約30~60秒程度で検査は終了します。
力が入っていたり、動いたりすると心臓以外の筋肉の動きが電気信号として混入し記録が困難になります。
・負荷心電図
負荷心電図検査って?
運動することで心臓の活動が活発になり、安静時では認められない異常を調べる検査です。
どうやって行うの?
階段を昇降運動を行った後に心電図を調べます。
・24時間心電図(ホルター心電図)
ホルター心電図検査って?
心臓の微弱な電気的興奮を増幅し、波形として24時間記録します。
なお、ホルターとは考案者のホルター博士の名前が由来です。
どんなことがわかるの?
1日を通して心拍数や心臓の動くリズム、波形の変化を捉えることができます。
通常の安静時の心電図検査では記録が困難な、日常生活の中で起こる心電図
変化を調べることが可能です。
どうやって行うの?
胸が見えるようにしていただいた状態で、アルコール綿で拭いた後心電図電極を5個貼り付けます。
心電図記録機を腰に巻きます。
電極と記録機を装着したまま、帰宅していただき日常生活をしてもらいます。
装着中の行動や症状などを、行動記録カードに記入していただき、翌日返却をお願いしています。
・ABI(足関節上腕血圧比)検査
ABI検査って?
腕と足の血圧比(ABI)や脈波の伝わり方(PWV)を調べます。
どんなことがわかるの?
「動脈のかたさ」、「動脈の詰まり」、「血管年齢」、 いわゆる動脈硬化を調べる検査です。
どうやって行うの?
上半身は、上着一枚程度になり、足首が見える状態で仰向けに休みます。
両方の足首に血圧計を巻きますので、膝を立て肩幅ぐらいに足を広げます。
両腕にも血圧計を巻きます。
両手首に心電図を測るための電極と胸に心音マイクを付けます。
・心臓超音波検査
超音波(エコー)検査とは?
人の耳には聞こえない周波数の高い音:超音波を利用した検査です。
探触子(プローブ;体に当てるもの)にゼリーを付けて観察目的場所に当てると反射波が受信され画像構築される診断装置を使用します。
どんなことがわかるの?
心臓にある4部屋の各大きさや部屋を仕切る扉(弁)の状態、心臓の中の血液の流れや圧の推定も可能です心肥大や心拡大、弁膜症、心筋梗塞などの 疾患に有用な検査です。
どうやって行うの?
上半身は裸か、薄い物はめくっていただき寝てもらいます。
右手、右足に心電図用のクリップを挟みます。
基本的に左側を下にして横を向いた状態で検査します。
胸に探触子をあてて検査を行います。
・頸動脈超音波検査
どんなことがわかるの?
頸動脈(総頚動脈、内頚動脈、外頚動脈、椎骨動脈)の血管の太さや内腔の詰まりなどの動脈硬化性変化の有無、血流を観察します。
どうやって行うの?
首の詰まった服の場合は脱いでいただきます。
または首もとのボタンなどをはずして首が広く見えるように
していただきます。
首枕をしていただき、仰向けに休んでいただきます。
両側の首を見ますが、検査する側の反対側に首を傾け、少しあごを
あげた状態で検査を行います。
首を探触子で押さえますので、気分が悪くなるなどの不調があればすぐに教えてください。
・下肢血管超音波検査
どんなことがわかるの?
足の動脈や静脈の血管の太さや血流を評価します。
動脈硬化症や静脈血栓症などにより、血管拡張や血管の内腔が細くなっていないかを調べます。
どうやって行うの?
下半身はパンツ以外は脱いでいただき、パンツ1枚で検査を行います。
短パンを持ってきて頂いても結構です。
仰向けに休んだ状態で検査を行います。
太もも・足の付け根から探触子を当てて観察します。
膝裏からの検査時は、膝を立てた後、外側に足を軽く傾けてください。
足首付近も検査します。
・呼吸機能検査
どんなことがわかるの?
肺活量では、安静の呼吸から最大吸える量と最大吐ける量を調べます。
努力性肺活量では、最大努力での息を吐く速さと量の変化を調べます。
2種類の検査を行うことで、肺の病気の診断(喘息・慢性閉塞性肺疾患・肺線維症など)や重症度、治療の経過観察に役立ちます。
手術時の麻酔を行う判断材料にもなります。
どうやって行うの?
椅子に座った状態で、マウスピースをくわえ、鼻はノーズクリップでつまみます。
肺活量の検査は、安静な呼吸をした後に、息を吐けなくなるまで吐き、次に吸えなくなるまで吸いこみます。
そして、もう一度吐けなくなるまで息を吐ききり、最後に息を吸います。
努力性肺活量は、安静な呼吸をした後に、できるだけ胸いっぱいの息を
吸いこみ、一気に力いっぱい息を吐き出します。
最後に息を吸います。
・呼吸抵抗検査
呼吸抵抗とは?
普通に呼吸をしたまま気道の状態を調べる検査です。 気道が狭くなる疾患では、呼吸する際に空気が気道を通りにくくなります。 この「通りにくさ」を示す指標を呼吸抵抗といいます。
どんなことがわかるの?
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断や、治療効果が得られているかの確認が出来ます。
どうやって行うの?
鼻にノーズクリップをしてマウスピースを咥え、数秒間安静呼吸をして頂くだけです。
・呼気一酸化窒素(NO)検査
NO検査とは?
呼気中の一酸化窒素濃度を測定します。
どんなことがわかるの?
喘息の疑いのある方や喘息の治療中の方に検査を行います。
どうやって行うの?
息を胸いっぱい吸ってもらい、一定の速さで息を吐いて頂きます。 一定に息を吐くのが少しコツがいりますが、何度でもやり直しが出来ます。
・呼気一酸化炭素(CO)検査
CO検査とは?
呼気中の一酸化炭素濃度を測定します。
どんなことがわかるの?
当院では禁煙時に検査を行っています。 喫煙していると高値になりますが、禁煙をすると低くなります。
どうやって行うの?
息を胸いっぱい吸って頂き20秒息を止めます。
20秒後、息をゆっくり吐いてもらいます。
・睡眠時無呼吸検査
簡易終夜睡眠ポリグラフィ(簡易PSG)って?
睡眠時無呼吸症候群の検査です。
睡眠中の呼吸の状態や睡眠の深さなどを簡易で検査します。
どんなことがわかるの?
寝ている間に呼吸が止まっていないか、 血液中の酸素濃度の低下の有無などを見る検査です。
どうやって行うの?
指先に酸素濃度測定器や睡眠状態を見るセンサー、鼻にカニューラ、
胸にバンドや体位センサーなどを装着します。
機械の装着はご自身あるいはご家族で行って頂きます。
入院は不要ですが、次の日に返却をお願いします。
終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)って?
睡眠時無呼吸症候群の検査です。
睡眠中の呼吸の状態や睡眠の深さ、覚醒反応をみています。
どんなことがわかるの?
寝ている間に呼吸が止まっていないか見る検査です。
睡眠時無呼吸症候群の重症度や、治療中の場合は治療効果が分かります。
どうやって行うの?
頭に脳波、鼻に呼吸の状態を見るセンサー、胸腹バンド、心電図、指先に酸素濃度をみるセンサーなどなどつけます。 機器装着後はベット上で過ごして頂きます。トイレも行けませんので、 尿瓶にてお願いします。
・脳波検査
脳波検査って?
脳の微弱な電気的活動を頭皮に付けた複数の電極から電位差を増幅し、波形として記録します。
なにがわかるの?
てんかん、けいれん、意識障害、脳腫瘍や脳の障害などによる
異常な活動電位をしらべます。
脳死判定にも利用されます。
どうやって行うの?
仰向けにやすんでいただき、頭に複数の電極をペースト(のり)を使って装着します。両手にはモニター用の心電図電極、呼吸の状態をみる胸バンドを装着します。検査中は、ビデオで撮影しマイクで音も記録しています。
・長時間ビデオ脳波(入院のみ)
なにがわかるの?
長時間脳波を記録することで、希な痙攣や発作などの診断に有効な検査です。
発作時の様子と脳波の状態を同時に記録して診断します。
どうやって行うの?
入院して、数日間続けて脳波を記録します。
・視覚誘発電位検査
視覚誘発電位って?
目から入った刺激が視神経を伝わり後頭部にある視覚野に到着するまでの時間を測定します。
どんなことがわかるの?
目が見えにくくなると目の病気と思われがちですが、脳の病気のこともあります。
脳の病気か目の病気か見分ける検査です。
どうやって行うの?
頭に数個の脳波電極を付けて検査します。ゴーグルを付けてベットに休んで頂きます。ゴーグルから光がでますので、目を閉じて楽にしていて下さい。
・聴覚誘発電位検査
聴性脳幹誘発電位って?
耳から入った音は聴神経から聴覚野に伝わります。その信号の伝わる時間を測定します。
どんなことがわかるの?
脳や聴覚に異常がないかを調べます。乳幼児の聴力を調べたいとき、難聴の鑑別、脳幹部腫瘍が疑われるときなどに検査を行います。脳死判定などにも用います。
どうやって行うの?
頭に数個脳波電極を付けてヘッドホーンをしてベットに休みます。カチカチと言う音を左右別々に聞いてもらいます。
・体性感覚誘発電位検査
体性感覚電位って?
体の電気刺激によって脳がどんなふうに反応するか、刺激は正しく伝わっているかをみる検査です。
どんなことがわかるの?
刺激を受け取って反応するはずの脳が反応しない病気、例えば脳幹障害や大脳半球の病気などがわかります。
どうやって行うの?
上肢の場合、頭に数個、首の後ろ、鎖骨に脳波電極を付けてベットに休みます。手首を電気刺激します。小さな脳波電気を記録していますので、何回も刺激しなければなりません。
・神経伝導速度検査
神経伝導検査って?
神経を刺激し、その神経に支配されている筋から活動電位を記録します。
運動神経や感覚神経の刺激が伝わる速さを調べます。
どんなことがわかるの?
手先のしびれや力が入りにくい等の症状がある方で末梢神経障害が疑われる場合に検査をうけていただきます。
活動電位の波形より、波の伝導速度・大きさ・持続時間・出現時間などを測定し、末梢神経障害の有無や神経のどのようなところが障害されているのか診断するのに役立ちます。
どうやって行うの?
上肢の場合、ひじのやや上まで出るようにしてベットで休みます。手のひらをアルコールで拭いた後、電極を3個貼ります。 手首とひじ周辺の神経の走行にあわせて、電気刺激を行います。下肢で検査する場合もあります。
・甲状腺超音波検査
超音波(エコー)検査とは?
人の耳には聞こえない周波数の高い音:超音波を利用した検査です。 探触子(プローブ;体に当てるもの)にゼリーを付けて観察目的場所に当てると反射波が受信され画像構築される診断装置を使用します。
どんなことがわかるの?
甲状腺の大きさや状態、血流評価、腫瘤の有無などを観察します。
どうやって行うの?
首の詰まった服の場合は脱いでいただきます。
または首もとのボタンなどをはずして首が広く見えるようにしていただきます。
首枕をしていただき、仰向けにやすんでいただきます。あごを軽く上げた状態で検査を行います。
・腹部超音波検査
どんなことがわかるの?
主に肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓などの臓器の状態、大きさや腫瘤の有無などを観察しています。
どうやって行うの?
お腹を見えるようにして仰向けにやすんでいただきます。 お腹に探触子をあてて検査をします。 検査中は声かけに合わせて呼吸操作をお願いします。 呼吸によりお腹の中は動きますので息止めをしてください。 必要に応じて体の向きを変えたり、座ったりしていただきます。
・聴力検査・チンパノメトリー検査
聴力検査、チンパノとは?
聴力検査はどのくらい小さな音まで聞こえるかを調べる検査です。 チンパノは空気圧を当てそのはね返り具合で鼓膜の動きの程度を調べます。
どんなことがわかるの?
聴力検査は難聴を調べる検査で、難聴の中には外耳から耳小骨までの間に原因がある伝音性難聴と内耳から脳までの間に原因がある感音性難聴があります。
チンパノは耳管狭窄症などで中耳内の空気圧調整が出来ない場合や中耳炎で中耳が詰まっている場合に変化が出てきます。
どうやって行うの?
聴力検査は防音室に入って座って頂きます。ヘッドホンをしてもらい音が聞こえたらボタンを押して頂きます。チンパノは耳の中に空気圧をかけて検査を行います。